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KDDでバイトしたことで 人生の転機 -- その2

その時、私の気持ちが騒ぎ出した。ここでアルバイトをしている間に、タイプライターを教えて頂こうと気持ちが燃えてきた。私たちアルバイトの仕事はこれまた横文字、国名、都市名別に通信回線のデータ集めであった様に記憶している。あまり聞いたことがない都市名が次々と出てくる。アルバイトの仕事といいながらも興味が次々と湧いてきた。机上で世界中を旅しているようであった。
更に嬉しい事は、東京の大手町か丸の内で働くということは夢の夢であるのに、アルバイトながらも大手町で働くことが実現している。仕事は毎日が楽しみであった。また、アルバイト期間中にタイプライターを習いたいと職場の先輩に相談したところ気持ちよく受けていただけ、早速、お昼休みを利用してタイプライターを無償で習う、これもまた面白い。この会社は何をしているのだろうと聞いたところ、世界中の通信を日本ではKDDが繋いでいると言われ、また驚いた。絶対、この会社と縁を切らないようにと一生懸命アルバイトを頑張った。
二ヶ月経った最後の日、アルバイト仲間八人とのお別れの会を催してくれた。他の皆さんは学生生活に戻るが私はどうしようと、ふと思っていた。会の最後に人事課に呼ばれた。話は明日からも働く気持ちはないかとの問いであった。働かせて下さいと伝えた。明日は八時に人事課に来なさいと言うお話。
九月一日、臨時職員と言う肩書きで、新しい職場は海底線建設部。どんな仕事をしているのか興味が湧いてくる。海底線建設部とは、太平洋の海底に通信ケーブルを施設する計画、準備をしている。
日本〜ハワイ間はKDDが、ハワイ〜サンフランシスコ間はアメリカのAT&Aという電話会社と共同で太平洋横断ケーブルを施設するという大きな仕事をしている職場と言うのは分かったが、話を聞いていても夢の世界のようで現実とはほど遠い。
その3 に続く


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