このごろ思うこと (4)
銀乃 川太郎

梅も散って、早や桜の季節になってきた。新年度が始まる。そして、”後期とは後の無い年寄りという意味で、大変残酷な言い方だ” と悪評が高い「後期高齢者医療制度」が発足する。前にこのページで、「我々の年代の人は、昨年までの国民健康保険料に比べて新しい制度の保険料の方が安くなるはずだ」 と書いた。しかし、4月の厚生年金から天引きするといいながら、3月の半ばを過ぎても保険料の通知がこないので、実際には幾らになるのかが不安になり、区役所に電話をして聞いたら区役所はてんてこ舞いのようだ。3月中に新保険証だけは発送しないといけないので、保険料の通知は4月になってからだと言う。その保険証が昨日来たが、これがなんと以前のものと同じサイズに逆戻りである。今の保険証になったときから、クレジットカードサイズになり、サイフなどに入れやすくなって携帯するのも便利になったと喜んだのに、またまた不便な昔に逆もどり。本当に健保行政のとんちんかんなやり方が不可解である。保険料の通知事務は都道府県で処理の速度が違うようで、神戸に住む友人は既に通知を受け取ったと言う。昨年までは頭打ちの56万円払っていたのが、今年は40万円になったと喜んでいた。奥さんの分を合わせても大分下がったことになる。そうは言っても、年金を支払うシステムは穴だらけなのに、徴収する方は全く抵抗の出来ない年金天引きとは、まことに腹立たしい話である。それに今までは10か月で払っていたものが偶数月の6回払いになるのだから、トータルでは年間の支払額が減ったと言っても、4月からの厚生年金はかなりの減額を覚悟しないといけない。一度受け取ってから払うのと、いきなり天引きとでは、額が大きいだけに慣れるまでは、結構気分の悪い思いをすることになるだろうと思っている。

 それはそれとしても、診療内容さえ今までと変わらなければ、いずれ慣れてしまえば何とか収まるのだろうが、どうもそうは行かないようなこともあるようだ。主治医制度がそれである。 私も妻もおしゃべり稼業の永六輔の話しがすきで、彼のトークショーには大抵出かける。あちこちの会場で喋る内容の半分くらいはいつも同じようなことを話す。そして、必ずといってよいほど、掛かりつけ医のいる人は手を上げてくれと言う。挙手する人はどこでも大体1割程度である。私は、新宿のKDDビルの診療所がOBを診なくなったときに渡された、過去の記録(カルテではない)やレントゲン写真を家の近くの内科医に提出して、掛かりつけ医になってもらい、都内に越してきたときも近所の内科医と同じような関係を結んだ。御蔭で、大動脈瘤の発見や入院等の措置を始め、脳、心臓などの検査のための大病院への紹介、定期的薬の投与などのほかに、健康管理に関する雑談的会話を通して信頼関係を構築している。主治医は是非持つべきである。

 新らしい主治医制度の目的は、年寄りはあちこちが痛いの痒いのと何らかの疾患を抱えている。そのためあちこちの医者にかかるので薬の重複があったり、診療記録の一元的統一的管理ができないなどの問題が生じる、これを防ぐために主治医制度ができた。この制度だと、月に何回かかっても主治医の報酬は600点、6000円に抑えられ、これ以上は幾ら診察したり指導しても変わらない。再診料や薬代は別であるが。月に1〜2回の通院なら問題ないが、ちょこちょことなると、直ぐに上限に達っしてしまうだろう、そうなると、主治医はそれ以上診ても収入にならないので、せいぜい薬をだすか処方箋を書くかでお茶を濁すことになる。このため、医師会は上限制度をなくすよう厚労大臣に意見をだしているがいまだ結論がでていないようで、3月末ぎりぎりまでもめるだろうと医者は言っている。近年は厚労省の役人の方が医師会より強くて、交渉ごとが上手くいかないことが多いとこぼしている。そこで、”上限制度は患者が困るから” と言って、一般国民から国会議員や厚労省にメールやFAXなどで文句を言って欲しいと、私の掛かりつけ医はこぼしている。自分達の収入の確保対策を患者にも一役買わせようと言うずるい魂胆である。

  ひるがえって、我々の業界はイーアクセスが参入して、競争が激化してきた。3月19日の新聞に、イーアクセスの新社長に深田浩仁氏(47)が就任したとでていたが、85年にKDDに入った我々の大後輩であるいうことは知らなかった。それにしても、ソフトバンクが家族間無料にしてシェアートップの座について大分になるが、3月からはKDDIが、4月からはドコモも無料制度を作るので、これでまたまた面白くなりそうである。それにしても分からないのが、ソフトバンクの営業戦略である。無料ばっかり増やして収入にならない営業方式のどこにメリットがあるんだろう。コストばっかり膨らむのに巨額の融資をしている銀行は黙っているんだろうか。おそらく、シェアーを大きくしておけば、市場全体の売り上げが大きくなっても小さくなっても、それなりの分け前が手に入ると考えているとしか思えない。しかし、目新しいサービスがなく、ただただ安い安いだけを売り物にしているソフトバンクの戦略は、いずれ行き詰まるのではないだろうか。今は第三世代無線の新会社 「UQコミュニケーション」の成功発展を祈りたいものである。 (2008.3.20 記)

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