このごろ思うこと (2)

銀乃 川太郎
 今年は”年金”と言う言葉がどれほど多く新聞、テレビで使われたことか、世相につられて改めて自分の年金を考えてみた。今年は年金額が減った上に税金が随分と増えたものである。定年近い頃、年金制度に係わった人達に、”良い制度ができていてよかった”と言ったら異口同音に、俺が作ったんだ、私が創った制度だと得意顔だった。誰が創ったにせよ日本有数の優良年金制度であることには間違いない。厚生年金と会社の年金を合わせると毎月が何の心配もなく送ることができる。ところが、長寿国日本と言えども男の平均余命は78歳である。齢も喜寿ともなると残りはたった1年ではないか。自分が先立った後の遺族年金は一体幾ら位になるのか、女房は今と変わらない生活ができるのか心配になってきた。残った女房に辛い思いをさせるのは忍びない。
 企業年金に遺族年金制度がない以上は、厚生年金の遺族年金だけが頼りである。友人知人達に遺族年金とは一体全体どのくらいの割合なのかを尋ねた。答えは相手によってまちまちである。曰く、今貰っている年金の60%、3分の2、7割、さらには半分だと言う人もいた。しかし、誰も自信がない。そこで社会保険庁のホームページを開いてみた。開けてびっくりである。元になる年金額に重大な落とし穴があったのだ。私の年金額から国民年金の老齢基礎年金額を差し引かなくてはならないのである。これは全く知らなかった。いままでは遺族年金の元になるのは、あくまでも今現在自分が貰っている年金額とばかり信じてこんでいたからである。今年の例だと、老齢基礎年金の満額の79万2千円を引いた額の75%である。これだと、今の厚生年金総額の約60%弱にしかならない。これに妻自身の国民年金と合わせた額が、私が死んだ後の収入である。年金貴族と豪語していた身分が、葬式が終わった途端に時給1千円とほぼ同じ境遇になる計算である。旧KDDマンの方々よ! 絶対に女房より先に逝ってはならない、と呉れぐれも自覚すべきである。
 ところで、社会負担が増える話ばっかりの中で、もしかしたらではあるが一つだけ愉快な話題がある。来年4月から75歳以上の新医療保険制度が出来るのはとっくにご存知だと思う。ここ数日間に朝日新聞には2,3回関連記事が出たが、27日の朝刊には各都道府県毎の保険料が載った。それによると、東京の一人当たり平均保険料は91800円となっている。一方、11月24日に「老人医療センターのあり方を考える実行委員会」と言う団体が各戸に配ったビラには、東京の年額平均保険料は10万2900円となっていた。いずれにしても、現在年間で所帯単位で44万円も払っていることを考えると、多少平均より高くなっても自分と妻の2人分で20万円台で収まるのじゃないかと楽観しており、今より10万円以上も減る勘定だ。今までは子供の扶養者になっていたり、所帯単位のため払ってこなかった女房族などが個人単位で払うので、所帯で高額保険料を払っていた我々は、負担が均されて減るということだと思う。ただ、年金から天引きと言うのがいかにも腹立たしい。精々早めに主治医と相談疾病予防に努め、生涯に頂く年金総額を出来るだけ増やす心掛けが大事だと思う。  (2007.11.27記)

[注] 本ページは、筆者からの原稿が投稿要領に合わず、調整に時間を要したため、掲載が遅れましたことをお詫びいたします。(2007.12.13 ホームページ・エディター)

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