このごろ思うこと (2) つづき

銀乃 川太郎
 先日、この”会員の広場”に 「このごろ思うこと」(2)を掲載した。その中で、新老人医療制度は、今まで子供などの被扶養者として自分では健康保険料を払ってこなかった老人も、一人一人負担することになるので、負担金額が均されて我々のように沢山払っている年寄りは、寧ろ安くなるのじゃないかと期待し、近年珍しい明るい話題と紹介した。しかし、明るいかどうか本当に自信があったわけではない。そこで、つい最近豊島区役所へ行って聞いてみた。結論から言うと、大した額ではないが、確かに下がることが分かった。先ずは中くらいの目出度さと言って良いと思う。関心のある方もない方も直接関係のある話なので、このページを開いたら一度計算してみるとよい。以下に算出方法を示す。ただし、この料率とか金額は東京都の広域連合に入っている区市町村なので、東京都以外は多少違うことを承知して頂きたい。
★ 後期高齢者医療保険の保険料算出方法
  年金雑所得(厚生年金+企業年金X0.85-78万5千円)(注1)−基礎控除33万円(全国一律)
  =保険料算出基礎金額 (A)
(注1) 年金収入4,100,000万円〜7,699,999円の場合
★年間保険料は、均等割額と上記(A)に対する所得割額との合計である。
  均等割額37,800円+所得割額 <(A) X 0.0656>=年間保険料(注2)
(2008年4月以降適用、但し実際の徴収は後)
(注2) 年金収入約460万円の場合で年間保険料は約32万円

 現在の国民健康保険の保険料は地方税の額が基礎になって算出されていると聞いており、上段の収入のある人の場合は、所帯単位、つまり配偶者と2人分で年間凡そ40万円強を払っているはずである。これが、32万円余りになるのでかなり減額になる勘定だが、油断してはいけない。これからは配偶者も独立して払わなくてはならなくなるので、この分を計算しなくてはならない。一般に旧KDDの社員の場合、配偶者は厚生年金の第3号被保険者だった人が多いと思うのだか、その方たちは、夫が定年になってから自分が第1号保険者になり60歳になるまで払ったというケースが多く、このような場合の国民年金額は満額(今年の場合約79万円)にはならない。したがって、50万円前後の年金から33万円の控除をした残りも僅かである。しかし、新保険料の均等割は払わなくてはならないので、33万円控除した約17万円から均等割37800円と所得割約12000円の計約50000円を払はなくてはならない勘定になり、所帯主の約32万円と配偶者の5万円の合計約37万円になり、現在よりの減額はたった3万円にしかならない。声を出して笑うほどの減額にはとてもならないと言うことである。まあ、それにしても政府の施策で今までより減額するケースがでるなんて、珍しいことではあるが、その蔭で、子供の扶養者になっていた老人達が、自分で払わなくてはならないという、悲劇も新たに生まれてくるわけで、やっぱり老人には厳しい政治だと思う。

★ 納入についての問題
 次にこの納入方法であるが、年金からの天引きが原則である。ところが、確定申告を提出し、それが回りまわって、かの悪徳社会保険庁に行って引き落とし作業が行われるのは8月以降にならないと出来ないらしい。そうだとすると、その後の年度内の年金支給月は10,12,2月と3回しかないので、上記の金額を3回で落とされると1回当たり10万円を越す。こうなると、おそらく3万円の減額なんて全く感じられず、年6回の年金のうち半分が10万円少ないことだけが強烈に感じられることになりそうである。現在毎月(4,5月を除いて)4万円づつ自動引き落としされているのがなくなるのがいいか、気分の上でどう平仄を合わせるのか難しい。結局また新しい老人虐めが始まったと嘆くしかないのかもしれない。   (2007.12.11記)

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