先月の 「小鳥のお宿」 がどうなったかと思いながら今月も那須へやって来た。
早速「お宿」を点検。 トイレの換気口のお宿は藻抜けの空になっていた。もう巣立って行ってしまったのであろうか。そこで巣をそっと取り出して写真を撮った。単三電池の大きさから巣の大きさをご想像下さい。卵を抱いていた所は綺麗な半球状の「ベッド」となっているのに驚き! このままにして置いてやりたいが、トイレの換気の都合もあるので立ち退いて貰うこととし、換気口には網を張ることにした。一方雀のお宿の方はというと、これも空き家のようである。はしごをかけてそっと覗いてみたが、中は小枝ばかりで「鳥影」はない。此方の方はそのまま放置しておくことにしたが、現在まで空き家のままである。
那須にいるといろいろと小鳥や小動物、また昆虫類との付き合いが色々あって面白い。 多くの場合名前もろくに判らない連中との付き合いであるが、沢山の思い出となっている。その幾つかを紹介すると、数年前のある日の夕方、家内の叫び声に驚いて外に出てみると「お父さん、大変!そこの木の下に蛙の顔をした蛇がいる!」。そこで駐車スペースの石垣の上の山ぼうしの木の下を見ると、何やらいる様子なので近づいてみると、本当に4,5センチくらいの大きさの蛙が此方を向いてチョコン座っているではないか。そして驚いたことにその後は確かに蛇の形が見える! そんなバカなと思ってよくよく見ると、なんと本物の蛇が蛙を呑み込もうとしていたのである。(残念ながらデジカメ以前の事なので写真は撮ったが行方不明である)可哀想に蛙クンは下半身を既に呑み込まれてしまっていて、上半身を両腕で支えて身構えている形は、まさに蛙の顔をした蛇そのものであった。蛇の方も大口を開けて蛙クンのお尻の方からくわえ込んだものの、流石に動きが取れなくなってしまったのか、じっとしたまま、ジワジワと呑み込み最中の姿であった。暫く観察していたが、哀れな蛙クンには申し訳ないが、これも自然の生存競争の一幕と割り切って放置しておくことにした。その後2時間ほど経って行ってみると既に蛇の姿は消えていた。
蛇と言えば、遊びに来た小学生の頃の孫が家の前の道路ででボール遊びをしていたが「おじいちゃん大変!溝の中に入ったボールの傍に小ちゃい蛇がいるよ!」と言いに来たので行ってみると、側溝に落ちたサッカーボールの傍になんと蝮が一匹とぐろを巻いているではないか! あわててつまみ出して始末したが、よくぞ孫が手を出すことなく、噛まれずに済んだものだとホットしたことであった。
また庭先で帽子の周りでブンブン言うので思わず払い落としてみたら、なんと写真でご覧のような大きなスズメバチであった。家の周りに巣を作られていては叶わないといろいろと調べてみたが、幸いスズメバチの巣のようなものは見あたらなかった。後で出入りの庭師の人に見せて聞いてみたら、この種の蜂は地下に大きな巣を作るのだそうである。その後最近になって庭の物置の天井に鶏卵大の妙なものがぶら下がっているのを見つけた。暫く観察していると物置の戸の隙間から中くらいの大きさのスズメバチが出入りしているのが判った。さてはあれは彼らの巣に違いないと思って、彼らの留守を見計らって「新築中?」の巣を撤去した。
この巣を手にとってよく見ると写真でお判りのように、何重かになった薄い卵状の殻の中に既に綺麗なハネカムが並んでいてその構造の精密さに驚かされた。これが完成するとあの立派な大きな球形のスズメバチの巣になるかと思ったらぞっとした次第である。
そのほか、朝目が覚めてみると天井で小鳥が「乱舞」していたり、居間の窓のサッシュの隙間にリスの夫婦が「不法滞在」して、仕掛けてあったネズミ取りに掛かっていたりとこの種のエピソードは枚挙に暇がない程である。考えてみるとこの様な自然の環境の中に、時々参加できると言うことは、日頃の都会暮らしにスポイルされた我々には幸せなことなのかも知れないと思いながら那須詣でを重ねている。今年は異常な猛暑続きの中、那須での気温は連日ほぼ20度C前後で推移しており、東京の皆さんには申し訳ない次第であった。ただしお天気は裏日本の梅雨前線のお裾分けに預かって、曇り空が続き、お日様を拝む機会は少なかった。