四季雑感 (2)
樫村 慶一
  各地の紅葉情報が聞かれる季節になった。暖かいせいか例年より紅葉が遅いと言われる。そんななか10月15日の年金支給日が過ぎた。事前に煩いくらい後期高齢者健保の保険料の新たな天引き対象が報道され、さらには、誤って引落としするケーズまで事前に宣伝されては、今さら驚く人も少なかったかもしれない。引き落としの件はともかく、毎年秋には各自治体で老人健康診断が行われると思うが、豊島区でも9、10の二カ月間で実施される。ところが、後期高齢者医療制度になっても給付は変わらないと宣伝しておきながら内容は大変わりである。
  今年から眼科の検査が無くなってしまった。驚いて区役所に聞いてみると、「糖尿病対策に重点を置くため血液検査項目にHbA1c(グリコヘモグロビン)と言う糖尿病のチェック項目を新たに追加したので、その代わりに眼科検診を止めた」と言う。とんでもないことで、糖尿検査項目は他にもあるのに、眼科は糖尿に関係ある眼底血圧の測定だけではなく、視力検査や白内障や緑内障の発見など重要な要素がある。それなのに血液検査の項目を一つ追加した見返りに眼科検診を廃止するとはとんでもないと噛み付いた。来年度以降はいろいろ再検討する、というので、選挙で民主党が勝てば後期医療制度は廃止されるので、様子をみているんだろうと、つい嫌味を言ってしまった。
  心電図検査も全員やっていたのが偶数歳のものだけになった。それも来年3月31日現在の年齢(要するに年度末の年齢)が偶数の者だと言う。私の家内は74歳で来年1月に75歳になるので、3月31日では奇数歳だ、従って今年(度)は心電図検査はやってもらえない。同一広域連合内は何処の自治体も検診項目は同じだと思っていたが、基本項目(血液検査、血圧測定、小便検査、身長・体重測定、診察など)以外は各自治体が財政に応じて項目を付加すると説明された。住民には十分な説明のないまま勝手に制度を作っているように思えてならない。
  定年前の現役最後の頃、骨太の革新派のある先輩が言っていた言葉を思い出す。「年寄りには自民党の政策の方が有利だ、革新政党の政策は低所得者向けなので我々にはむしろマイナスになる」と。たしかに、民主党の政策では配偶者控除や扶養控除をなくして子供手当てなどに廻すので年寄所帯には増税になる。しかし、そうは言っても、我々にとって保険料がほんの少し減ったからといっても、2年後には上がるかもしれない。それよりも、今だけでなく先行きも給付が改悪されるような制度はやっぱり廃止することに賛成せざるを得ない。
  同友会のの懇親会が終わった。懐かしい顔ぶれを見て年に1度の懐旧談に花を咲かせた。しかし会場を埋める会員の密度が年々粗くなってくる。昨年の出席者は300人とか言われたが、今年は250人くらいだったようだ。多い日には1日で3人も4人もの訃報が来るような年代層の人ばかりなんだから、当然ではあるが寂しい限りである。同友会会長、KDDI役員、年金基金役員の話しが続くなかで 2人が倒れた。いずれの方も大正生まれの先輩だが大事には至らなかったようでまずはほっとした。会社の業績も年金基金の運用実績も昨今の経済事情の影響を受けていることは十分理解できる。何も出来ないOBには、ただただ現役の後輩諸氏に”頑張って下さい”と言うしかなす術がない。むしろ、働かずに生きていける身分を感謝しなければならないのだと思う。
  話しは変わるが、9月末の携帯電話各社の純増数とシェアーを電気通信事業者協会のホームページで見た。どうやら、新規契約者純増数レースで  auはビリッカスを抜け出したようである。もともとイーモバイル如きの後塵を拝していたのが不思議なのだ。それにしてもNTTがソフトバンクに肉薄しているのには敬服である。そういえば最近のNTTのCMはかなり派手にやっている。2008年9月末現在の数値を紹介する。
             NTTドコモ   KDDIau   ソフトバンク   E.V

  純増数:          129,700      74,900      142,800    59,300
  現在までの累計:   53,937000  30,451,700    19,633,200    811,700
  市場のシェアー:     51.34%      29.04%      18.72%     0.077%
    なんのかんのと言っても3大事業者の株価ではKDDIが一番高い。周りが暴落の中でも孤高を守っている感じがする。やっぱり、総合的な価値が評価されているのだろう。しかし、雑誌「選択9月号」にこんな記事がでていた。要約して言えば  『昨年と今年、KDDIは東電や中部電力の光ファイバー部門を買収したが、東電への代価は増資した株式(約8%)で支払った。東電は来年1月からの料金値上げを経産省に申請したが認可は半分にされた。その見返りに相当のコスト削減をしなければならない。削減対象の一つに所有するKDDIの株式があり、下がる前の時価で約1千億円と言われ、経産省では”内幸町(東電本社所在地)の埋蔵金”と言っている。東電はこれを処分しなければならないかもしれないが、そうなると市場に相当量の浮遊株が発生して経営に不安定要素が加わる。』  と言うのが「選択」の記事である。東電がKDDIの持ち株8%を手放した後、これが浮遊するとどうなるのだろうか。どうゆうことになるのか素人にはさっぱり分からない。
(写真: 愛知県香嵐渓 撮影/樫村慶一 2008. 10. 20 記)