映画 「硫黄島 ・・・」 の時代考証 |
樫村 慶一 |
横井さんが硫黄島の映画をご覧になり、時代考証に関する問題についてご指摘されておりますが、全くもって同感です。私は映画を月5〜6本は見ていますが、戦争物も結構あります。ただ、硫黄島の映画は2本とも見ませんでした。元々日本がやられる筋書きの映画は見ないことにしています。事実はどうであれ日本が負けるのは気持ちの良いものではありませんから。逆にヨーロッパ戦線のドイツと米軍の戦いものや、パルチザンもの、ベトナム、アフリカが舞台のものなどは単なる娯楽物として楽しんでいます。 ところで、横井さんが指摘されていた、映画の中の時代考証の間違いについては、私も前から見る度に気になっていました、だいたい、現在の映画作りのプロデゥーサーやディレクターが戦争を知らない人間なんですから、このような形になるのも止むを得ないものとは思っています。しかし、私ども戦前・戦中派にとっては、最低の考証は是非忠実であって欲しいと思います。そうでないと映画そのものの興味を削ぐことになり、いかにも作りもの感じがします。もっとも50代以下の人間には気にならないことなのでしょうが。 横井さんがご指摘の点は、全くその通りで、良くぞ言ってくれたと思っています。だだ、日本の戦争映画(戦争映画とは限らず”昔の軍人が出てくる映画”)を見る度に、私が常に感じている一番大きな問題点が抜けていたように思いました。それは、陸軍の軍人の髪の毛が戦闘帽の後ろから伸びている場面が多いことです。(硫黄島の映画は見てないので、どうだったか知りません)。ひどいのになると、長髪がそのまま出ています。俳優達にとっては、1本の映画のためにわざわざ5分刈りにして、その後、数ヶ月も伸びるのを待つのは色々支障があるのは理解できますが、せめて鬘を被るなりして、往時の雰囲気を出して欲しいと、日本映画で長髪軍人が出てくる度に、いつも思っています。 もうひとつついでに言うと、敬礼が、或る時は肘を横に張った陸軍式であったり、或る時は肘を脇につけた海軍型であったりなどなど、気になることがたくさんあります。細かいことを言えばきりがありませんが、軍服や武器の色とかデザインとか汚れ具合とか、言葉使いとか、映画を見ていて、60年以上前に当時のニュースや映画や町中で会った軍人とは違う印象を受ける人は、まだまだ少なくはないと思います。もっとも、太平洋戦争も日清、日露戦争も歴史の一こまとして、同列に見る現代人には関係ないことなのかもしれませんけど。 流石横井さん、プロらしきご指摘に共感を受けたので、ちょっとだけ言わせて頂きました。静かなブームとか、最近は面白い映画が増えてきました。益々良い映画が見られますように、乾杯!! |