< こんにちは k-unet です >
No.103 2010/5/17
担当:森 弘道
風薫る5月になりました。世界的な天候不順、ハイチやチリやチベットでの大地震、アイスランドの火山噴火と天変地異が続く昨今です。政治や経済もまだまだ混乱状態が続いています。そろそろ落ち着いた世の中になってもらいたいものです。
私は、先に70歳の誕生日を迎えました。「古希」と言われる節目の歳です。周囲の皆さんからも「おめでとう」などと言われて気を良くし、大台に乗ったからには、健康保険、介護保険、はては税制などでも何かいいことがあるのでは…と密かに期待しました。しかし、現実はそんなに甘いものではありませんでした。今回は70歳代として初体験の一つ、高齢者運転免許の更新について書いてみます。
誕生日より3ヶ月ほど前に、公安委員会から高齢者講習会なるものの受講案内が届きました。「運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の者」は更新手続前に受講することが義務付けられているのだそうです。受講料が5800円もかかります。その時は、まだ3ヶ月も先のことだからとしばらくは放っておくこととしました。
それからしばらく後、知人から「講習は混んでいるらしいよ」と注意され、あわてて公安委員会指定の自動車教習所に電話しました。ところが、なんと講習を受けられるまでには3ヶ月待ちとのこと。「そんなに待ったら誕生日が過ぎちゃう」と訴えましたが、「大丈夫、更新期限は誕生日1ヶ月後です」と言って取り合ってくれません。やむなく3ヵ月後に予約しました。「もし3ヵ月後の予約日に何かの都合で受講できなければどうなるのですか」と念のため問い合わせました。「その時は、予約は更に3ヶ月程度あとになりますね」と冷たい言葉が返ってきただけでした。
そういう訳で3ヶ月後の講習は絶対に外すことのできない最優先の予定となってしまいました。雨が降ろうと風が吹こうと、病気になろうと自分の周辺に何が起ろうと、めったなことでははずすことのできない予定となりました。これはかなりのプレッシャーです。何とかならないかと、その後、県内の教習所に片っ端から電話して予約の可否を問い合わせ、幸いにも、ぐっと田舎の方ではありますが、ようやく早めの12月24日、クリスマスイヴの日に予約が取れて一件落着となりました。その教習所では、この日は例年休日にしていたのですが、今年からは営業することにしたそうです。そのような特殊事情でこの日だけぽっかり空きがあったという次第。幸いでした。
そのような訳で、講習当日は、電車に揺られて、丹沢の山並みを眺めながら(これは遠景を見ることで視力の改善を図るため)、会場に出かけました。講習内容としては座学のほか、運転シミュレータによるブレーキおよびアクセル操作の反応時間の測定、そして視野、視力回復時間、夜間視力、動体視力をそれぞれ測定したのち、実車による運転実技がありました。
この講習は、内容的には非常に良いもので、70歳の衰えを実感させられ、今後の更なる安全運転の必要を再認識させられるものでした。特に、対向車のライトを模したぎらぎら輝く2つの光源間にある標識を識別する夜間視力(眩光下視力)の測定、超明るい環境から急に暗転した後の視力回復時間の測定、この2種類の測定では特に自分の眼力の衰えを痛感させられました。例えば、トンネルに入って急に暗くなった後1分近くも視力が十分回復しないまま運転していたと言われれば恐ろしさを感じます。しかし、それが現実に起っていたわけです。能力の衰えを気付かず運転するのと、気付いて運転するのでは大違いです。受講してよかったと思います。この制度、お客の減少に悩む自動車教習所の救済策ではないか、などと邪推するのはやめることとしました。
ここで問題にしたいのは、行政の問題です。「高齢者」に指定された途端、免許の更新に際して5800円もの余計な出費を強いられることはともかくとして、講習3ヶ月待ち、というのは高齢者にとって忍耐を強いる制度です。昨今の高齢者による事故の増加を考えれば、制度の必要性は頷けます。しかし、その制度を実施するにあたっての態勢が全く整っていないこと、そのとばっちりを高齢者に押し付けていることには疑問を感じます。まさに高齢者いじめではないでしょうか。
以上は私が住む神奈川県での体験ですが、みなさまのところはいかがでしょうか。いずれにしても、これから高齢者更新をされる方、早めに手を打つのが肝心ですね。
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次回 <こんにちは、k-unetです> 6月号の担当は石川恭久世話人です。
以上