今年も残すところ少なくなりました。皆様にとって今年はどんな年回りでいらっしゃいましたか。政治の世界では政権交代という思いがけない事態となりましたが効果の程が早く出て欲しいものです。
　図らずも今年は年の初めと終わりに執筆を担当する事になりましたが今回は珍しい体験をご披露いたします。

☆産みの苦しみのあとの美酒
　今年は大小合わせて４つの集まりの幹事役のお鉢が廻るという大当たりの年でした。中でも
「電話センターの女性の集い・１０９の会」の幹事役は重く胸にのしかかるものがありました。
テーマを「日本の伝統文化をとりいれる」という魅力的な企画をして、「何となく足が遠ざかりがちな皆さんに回帰してもらいたい」という気持ちを込めたつもりです。
 
そんな折に「日本橋から伝統文化を発信している新日屋さん」に辿り着く事が出来たのは2月中旬でした。
NHKの夕方の情報番組で紹介されているのを見つけ、早速担当者に接触して相談したのです。
すると「柳橋の老舗料亭で食事をして幇間(ほうかん）・櫻川七好さんの芸を楽しむ」という女性とって途方もない企画が提案されました。柳橋は江戸情緒の残る場所ですから私共の希望にぴったりです。
金銭的な事が心配でしたが「面白い、やりましょうよ」との若手の幹事役の一言に背中を押され恐る恐る決断する事になりました。
 
案内状が届くと大方の方が「一度幇間芸を見てみたかった。その料亭に行ってみたかった」などと反応は良好です。女性も粋なお遊びに憧れていたのだということが良くわかり、自信を持って進めることになりました。そして定員53名もそう苦労することなく集められたのですが担当者は更なる提案を持ちかけてきました。
「この際、吉原最後の芸者・みな子姐さん（89歳）の芸に是非触れて下さい。人柄も芸も 晴らしいです。」と。
こうなるとなんと言っても心配の種はお金。会費をそれなり値上げすれば何の心配もありませんが、このご時勢値上げだけはしたくないというのが私共の気持ちです。唯一つの光明は今までの幹事さんたちがコツコツと余剰金を溜めておいてくれた「埋蔵金」の存在です。そこで悩んだ挙げ句「溜めておくだけが能ではない、こんな時代だからこそ一部を皆さんに還元して大いに楽しみ元気を出してほしい」と幹事の気持ちは固まり、清水の大舞台から飛び降りる事になりました。
 
そして迎えた当日は好天に恵まれ、一人の欠席者もなく懐かしい面々が集まり、会場は再会を喜び合う賑やかな声であふれ返っています。まずは幇間さんの登場です。