| 夕ぐれの時はよい時 （作者： 大谷 恭子 さん） |
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| 夕ぐれの時はよい時 （作者： 大谷 恭子 さん） |
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久方ぶりに父の故郷である福岡を訪れた。この地には、黒田長政が築いた「福岡城」跡ちかくに、豊かな水と緑に包まれた 広大な敷地をもつ大濠公園がある。私はしばらくの間、この公園のベンチに腰かけていた。休日だったので、池には沢山の スワンボートが浮かび、その間を恋人たちを乗せたボートも往き交い、カモメが戯れていた。 遠い昔、父も私の手を引き、この広い池の面を眺めていたのだろうか。きっとそれは、やさしさに溢れたひと時であったに 違いない。 堀口大学の「夕ぐれの時はよい時」という詩の情景がそこにあった。『夕ぐれの時はよい時。かぎりなくやさしいひと時。 …… それは希望でいっぱいなひと時、夕ぐれ時、自然は人に安息をすすめるやうだ。』 私のすぐ近くのベンチに座っていた、美しい笑顔の母親とその幼子たちの明日に幸いあれ！ そしてここに集うすべての人々、 また地球上の生きとし生けるものすべての上に慈愛あれ！と心から祈った。 ＊[写真説明] 撮影月日：2011.10.8 撮影場所：福岡市(大濠公園) |