Sugar & Salt Corner
No.30   2007年2月13日
佐藤 敏雄 

略語の洪水

IEEE Spectrum誌の昨年10月号に、頭文字から始まり、3文字、4文字の略語に関する面白い記事がありました。
以下、パソコンをおやりの方ならいつかどこかで聞いたことのあるような略語と日本語の状況のお話です。

先ずレーダーという言葉。気象レーダーとか、飛行機や軍艦の設備としてよく知られていますが、さて元の意味は? Radar = RAdio Detection And Ranging が正解。もっと身近のものとしてATM = Automated Teller Machineがあります。銀行などの自動現金支払機としてご存知でしょうが、通信の世界では Asynchronous Transfer Mode という、れっきとした伝送方式を指します。どちらもよく使われますので、専門家でも会話の状況が分からないと混線しかねません。レーザー光線がLASER = Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation だなど、子供は勿論、一般の方は誰も思いつかないことでしょう。

最近では050 で始まる電話番号をもった、パソコン経由の割安な電話としてVoIP = Voice Over IP(IP電話)をお使いの方も多いでしょう。この IP もまた二重の略語を持っていますね。一つはご存知、 Internet Protocol ですが、もう一つ大事なものとして Intellectual Propertyがあります。IPR(Intellectual Property Right = 知的財産権)として知られています。

上記Spectrum誌に技術略語一覧表が出ています (www.spectrum.ieee.org)。少々半導体関係に偏り過ぎているのでここには掲載しませんが、知っている数による評価が掲載されています。半分できたらPhD、30〜34できればテレビのクイズ王になれる。40〜48ならノーベル賞候補だそうです。48以上できた人は「嘘つき!」何故かって?例が48個しか出ていないからです。

我々日本人も略語をよく使いますね。先日BS2(これも略語)で新刊書の紹介をしていましたが、ロリコンがロリータなる少女と男の物語から来ていると知ってはいても、原典は未だ読んだことがありません。身近な言葉でも、電卓、パソコン、ワープロ、デジカメ、ラジコン、リモコン、エアコンなどなど挙げていくと、特に外来語に短縮形が多いことに気付きます。ピンハネは外来語ではありませんね。最近はやった「美しい国」のホワイトカラー・エグゼンプションはその逆ですが、exemption などという難しい言葉を引き合いに出すのはいただけませんね。「美しい日本語」を使いたいものです。

以上、略語、略号から思いついたまま。

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