2019年5月号
薔薇に包まれて
 
 今や関東のあらゆる行楽地は、バラの花が真っ盛りです。神代植物公園や生田緑地バラ園、房総ドリーミングプレイス・ローズガーデンなど満開のニュースが引きも切らずです。美しいバラには縁遠いと思っていた私でさえこの季節、バラを愛でる機会に恵まれています。
 まずはこの連休中に、兄家族の熱海旅行に一人参入したところ、バラ栽培を趣味にしている義姉から「かおちゃん(私の愛称です)、熱海なら絶対、アカオ・ハーブ&ローズガーデンしかない!」との一言で行程が決まり。「牛に引かれて善光寺」のごとくお伴しましたが、その香りと見事な大輪の花に魅了されました。
 そして先週は、「松本清張展」に行こうと横浜元町の神奈川近代文学館を目指し、港が見える丘公園内のイギリス館を横切ると、アーチ型に巻かれたバラたちのお出迎えが!ここも開港時に上品なイギリス人の紳士淑女が眺めたであろうローズガーデンが造園されていたのでした。しばし清張展に来たことも忘れ、一心不乱に写メを撮り、すっかりロマンチック気分で「そういえばバラの花言葉はなんだっけ?」と思い返しました。「綺麗な薔薇にはトゲがある」とは違うしなあと、スマホ辞典をひも解くと、いやはやビックリです。色、本数、状態によって、花言葉が詳細に分かれているのです。たとえば、赤のバラなら「情熱」はまだしも、1本なら「一目ぼれ」で、満開なら「私は人妻」、枯れているなら「友情のままで」には、ほとんど誰が決めのだと釈然とせずスマホ画面をオフにしました。
 毎夜、自分の部屋にバラの芳香剤を撒きちらし、むせかえるような香りに包まれてこの私・香子(かおりこ)は、来月の誕生日月をなんとなく待っています。
(レポート:町田香子)